齋藤 弓子
齋藤助産院 院長
『地域の開業助産師が行う
産後ケアという名の子育て支援』
私は開業助産師として35年位、地域で仕事させていただいています。母乳相談、自宅出産から始め、25年位前からは有床の助産院として入院出産、産後入院も受けています。
先日、3年前の夏に2ヶ月産後入院をされた方から転居通知のハガキが届きました。新居の前で親子3人満面の笑顔!です。
「お盆すぎ迄ゆっくりさせて下さい」とご主人に連れてこられた時は、めまい、頭痛、食欲不振、不眠、不安、腰痛、もろもろでぐったり、ボーッとしているような状態でした。
6ヶ月になるケンちゃんはとてもかわいくて、昼は助産院の託児室で、午後2時からはスタッフにお世話してもらい、夜は私が抱っこして寝ました。ここにいる間に歩行器を乗り回し、離乳食を食べ、どんどん成長して行きました。
ママは、眼科、整形外科、内科、といろんな所にかかっていろんな薬を飲んでいました。知り合いのお医者さんに相談して、二重で出ているものもあったので、薬を整理し、少し体調が良くなり、少し眠れたせいか、数週間でケンちゃんのお世話も少し出来るようになりました。
そして、自分で心療内科を受診し、自分の体を受容できるようになり、地域の保健師さんとも相談し、ケンちゃんの預け先が決まり、9月から公立の保育園にも入れて、あとは長い目で病気と折り合いをつけながら生活していけるかなということで退院されて行きました。
本人は、病気はつらかったけど、おかげでいろんな人の手を感じ、又夫婦のきずなも強くなったことを自覚していると、1年位たった時話していました。とてもやさしくて、繊細で、責任感が強く、ケンちゃんを育ててがんばりすぎてこじらせちゃったのかなと思います。
1ヶ月の時でも2ヶ月の時でも、ちょっと体力的に「ムリ」と思った時、休める場所が気楽に利用出来たらいいと思います。ここで産後入院される方は「親が高齢」「手伝いがない」などの理由でみえますが、だいたい仕事を持っていて自分の自由になるお金を持っている人です。
1日でも利用してゆっくり休みたい人に、当院は他よりは安い料金を設定していますが、それでも家庭の主婦は自分の体の不調にお金を使うのは難しいのです。公費が利用できるように、切に望みます。
齋藤助産院
母と子のサロン
https://saito-josanin.com