谷口 齋隆さん

駄菓子屋ROCK 店主

『古き良き日本の長屋意識を忘れず安心して子育てできる社会へ』

茅ヶ崎産まれ、茅ヶ崎育ちで、古き良き日本の文化を次世代に継承したいという思いから、湘南を中心に移動式リヤカー駄菓子屋を営んでおります。

産後ケアはとても価値ある支援だと思います。

一昨年第一子である娘が産まれ、初めて父親という立場になったのですが、それはもう初めての事だらけで不安でした、男性でもそうなんでしょうから世のお母さん方は出産、育児に向けて相当不安を抱えているかと思います。

コロナ禍でありましたが、制限されつつあった両親学級などに夫婦で積極的に参加し、妊婦体験や沐浴練習などを経てイメージを膨らませ、出産立ち合いもする予定でしたがこちらも制限がかかってしまい、我が子に初めて会えたのは退院の5日後でした。

出産後も子育て支援センターでの集まりや、ベビーの広場などに赴き、同期のママさん達との繋がりを意図的に広めていました。それらは当事者同士の情報共有が目的で、タイムリーな赤ちゃんの成長を周囲と照らし合わせる事で安心に変えたいという思いだったかもしれません。

私自身、「ママほぐ」さんの存在は娘が一歳を過ぎてから知ったのですが、正直もっと早くから知っておきたかったというのが本音です、出産前も勿論不安でしょうが、産まれてからの未知の体験や母親の心労など、迎える不安の先にこういった団体や存在があると解っていられるだけで気持ちが大分楽になるのではないでしょうか。

不安要素より日々の子供と過ごす時間や目まぐるしい成長を見守る幸福感は比べものになりませんが、やはり育児も成長に合わせ初めての事だらけですので、どうしたらいいんだろう?は常にありますし、情報は簡単に手に入りますが、やはり一番の安心は同期のママさん同士のリアルの声や「私だけじゃないんだ」と思える共感や同調が大切なのではないかと思います。

愛しいが故、大切な故に頑張り過ぎてしまう。
しかし母親あっての赤ちゃんですし、親の様子を子供は想像以上に伺っている筈です。頑張り過ぎて本来の愛情が注げない境遇は子供にも親にも宜しくはないでしょうから、頼れる存在がとても大切だと思います。

パートナーの理解も大きな要因で、僕自身もそうだったのですが、仕事と家事の解釈に差があることに気がつきました。
仕事は0を1にする建設的な思考でこなしていましたが、家事は-1を0にする作業である事に気づいた時に、夫婦間で生じる問題の捉え方の差があると思いました。

料理は0から1ですが、皿洗い、洗濯、掃除等は起きたことへの処理、次回使用時に0から使える作業と捉えると、大半の家事は-1を0に戻す作業であるので、両者がそれぞれにお互いの役割に捧げる時間配分で言い争ってしまうと、そもそもの作業工程が違うので理解し合えるのが難しいのではないのかと思いました。

そのような事から、家族間でも理解が難しい事があるなか、母親が理解を寄せる先が外部にある事がとても安心に繋がるように思えます。事例は両親ありきで記述しましたが、環境によってはシングルで子育てをされている方も沢山いるいらっしゃるかと思います。

本来でしたら産後の不安ケアなどは行政レベルで機関などがあれば一目でコンタクト取れるのでしょうが、なかなか公な機関は見当たらず、自身で検索し民間団体にアクセスするしかないようです。

行政は前例のないものには協力的ではありませんし、残念ながら初動は民間で事例を作らなければ行政に対してアプローチが難しいのは、私自身もコロナ禍で中止や延期される祭事やイベントを行政相手に企画する過程で痛感しました。行政を納得させられる前例を作らなければなりませんでした。

それらのことを踏まえ、産後ケアやお母さん達の不安を解消できる機関が世の中に増えてゆくことを願います。駄菓子屋が持つ暖かさや温もり、現代社会に失われている日本の古き良き「長屋意識」には通づるものがあると思いますし、物や想いを託せて預けられる社会への安心を取り戻せて行けたらと切に願います。

男性目線で偏ってはしまいましたが、今後もママほぐさんの活動を応援させていただきたいと思います。共に笑顔あふれる豊かな社会を想像して行きましょう。

駄菓子屋ROCK

https://dagashiyarock.com/