「Motherhood~母であること~を喜ぶ、楽しむ、愛しむ」 #2 コロナ禍の子育て~正しく怖れる~

SanaHashimoto Article

 子どもは、お母さんが完璧であるよりも、ほどほどである方が自立して育つと知っていますか?ママが、私は完璧ではないけども私なりに一生懸命やっている、自分の子育てにある程度満足していること、そういう姿で日々子どもと向き合っていることこそが自己肯定感のある子どもを育てることにつながります。この連載では、日々小さなことで思い悩み、わが子にとって最善のことをしなくてはと思いながら、なんとかその日その日を生き延びているママたちに、肩の力をぬいてもいいことを考えるきっかけとなることを願っています。ママがママとして元気でハッピーであることが子どもの幸せの土台になります。“子ども時代”という言葉があるようには“お母さん時代”という言葉はあまりきかないけども、女性の人生の中でお母さんとして生きる時間は一部です。子にとっては四六時中母であるわけですが、私たちは母であり、妻であり、女性であり、娘であり…等々。その時間をどう生きるかはその人次第であり、筆者である私はサイコロジストとして、一人の母親そして女性として、すべてのママたちがその時間を幸せなものと感じてほしいと願いこの連載を僭越ながら届けたいと思っています。

#2 コロナ禍の子育て~正しく怖れる~
 コロナが蔓延して私たちの生活に影響を与えるようになってすでに1年半強経ちます。もういい加減疲れてきた頃でしょうか。もう麻痺してきてしまっているようにも世の中の動きを見ていると感じます。それでも子どもを守る親としては、頭を悩ませつづけ麻痺しているわけにはいかない問題ですね。さて今回も皆さんに質問するところから始めたいと思います。是非紙とペンを用意して、生活の作業の流れをとめて答えてみてください。

しつもん.コロナ禍で皆さんの生活によくも悪くもどんな変化が起きていますか?3つあげてみてください。

 いかがでしょう?3つ書き出すのは大変でしたか?それとも3つだけだなんて言い尽くせないわ、足りないわ!という感じでしょうか。よくも悪くもとお聞きしましたが、皆さんの回答はよいことと悪いことどちらが多かったでしょうか? 
 コロナ禍いつまで続くのだろう?とストレスを感じる毎日ですが、実際に変わったことをあげてみると悪いことばかりでないかもしれないということはないですか。先日同じようなテーマでお話をする機会があったのですが、“コロナのおかげで”ということもあるという話がありました。パパが在宅で仕事をするようになったことで子どもとパパが顔を合わせる時間が増えたとか、家の中でできる遊びのバリエーションが増えたとか新しい生活様式の中に楽しいことが見つけられたという話でした。コロナ禍はある種災害下とも言える状況と思います。そういう災害下においてはやはり心は疲弊しますね。リフレッシュしようにも選択肢が制限されてもいます。いつもの対応方法がとれないこともまたストレスにもなりますね。ただその一方でいつもの方法が使えないことで人はいろいろ工夫したり、いつもしないことをしたりしてみるのですが、この試みが私たちの縮こまった心を広げてくれることにもなります。そしてこうやって困難をしのぐことができたということが私たちの心を強くしてもくれます。実はこれは子どもが成長・発達するメカニズムにも通ずるものがあります。もし、3つ全て悪いことだったと思う人は一つよいことをあげてみてください。
 一方で、3つ良いことだけあがった人もいるでしょうか。そういう人は、一つ嫌だな、ストレスだなと思うこともあげてみましょう。自分が何にストレスに感じているかということを認めることもとても大切なことと思います。ストレスを感じない人の心が強いのではなく、ストレスを認め、それに対処することができるところに人の心のしなやかさ、心の広さが顕われます。中にはストレスに無意識に対処することでストレスを感じることなく過ごしている人もいるとは思います。それはきっと本能のようなものでなかなか身に着けるのは難しいかもしれないと思います。ですので、私のような普通の人間はやはりストレスを見定め、対処しながら日々すごしていくことが現実的に思います。そして対処することができる自分を知っているということで、この先の自分にそして子供に「私(私たち、あなた)は大丈夫」と自信をもって言えるようになります。そしてどうしてもストレスが大きすぎるときは、少し休んで力を蓄える、助けてくれる人に助けを求め援軍を呼ぶ、新たな技術を身に着ける間解決は保留にすることもできます。それでもどうにもならないときは逃げてもいいということを知っていることも大切なことです。コロナから逃げるということはあまり現実的ではないように思えるかもしれませんが、現実逃避というように、コロナが蔓延しているこの生活の現実を認めない動きも多々あるように思います。逃げてもいいけど、逃げていることを認識していることは必要と思います。緊急事態宣言が解除されること、ワクチン接種をしたからといってコロナの脅威がなくなるわけではありません。怖れすぎることはないですが、正しく怖れることは大切です。今はメディアが発達し、何が正しい情報かわかりにくい世の中にもなっていますね。自分に都合のよいニュース、都合のよい解説をするコメンテーター、学者だけを信じるのではなく、様々な情報に触れてみましょう。これはメディアリテラシーを子どもに教えることになりますね。そして自分にとって大切な人、家族や友人と話をしましょう。その中で自分なりの判断をして、できる限りの予防をして、それでもかかってしまうかもしれないけど、ワクチンを打っていれば重症化する可能性が低くなるから少し安心ということが正しく怖れることの一例と思います。そして同じ状況で共に生きている大切な人と今ある喜びをともに喜びながら生きていくことが今できる最大のことではないでしょうか。そうやって困難な状況にありながらも、前向きに生きている姿を子どもたちに見せていくことが、親が子どもを守ること、子どもが困難を生き延びていく力を身に着けていく道しるべとなることにつながっていくでしょう。最後に、ストレスや不安というのはその奥に皆さんにとって大切なものがあることを教えてくれていると考えることもできます。日々惰性で行っていたことの無駄にも気づくことで改めて何が大切かということについても考えさせられますね。会いたいけど会えない人の大切さ、自分の時間の大切さ、愛する人が健康で無事であることなど。皆様が大変な時だからこそ見えてくる大切なものを見過ごさず、出会えていますように。大変な苦しいときにも幸せがある日々を皆様がおくれていますように。

追記:しつもんに答えてみたところでの感想などぜひおよせください。また相談コーナーも設けてみたいと思います。連載のテーマに沿った形で連載の中でとりあげていきたいと思いますのでその点ご理解いただきお寄せください。

筆者プロフィール

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橋本 麻耶

サイコセラピスト、臨床心理士
PAS心理教育研究所非常勤セラピスト
某市 子ども発達相談巡回コンサルテーション講師

母は完璧でなくてもいい、ありのままの自分らしい母になろう。
 
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