「わたしと帝王切開~これからがこれまでを決める~」

細田さんMeetTalk

私は3人の娘をそれぞれ帝王切開で出産しました。
もうみんな大人になりました。
30年前、2回流産した後の妊娠で、ドキドキしながら出産の日を待っていました。
経膣分娩する気満々で、呼吸法やいきみ方の勉強だけをしながら。

予定日を10日過ぎてもまったく陣痛も来なくて、心配し始めた頃の検診で「入院して促進剤を」と勧められました。
微弱陣痛は来るものの、夕方 投与が終わると当然陣痛は遠のき、数日後に胎盤機能が低下したため緊急帝王切開に切り替わりました。
じつは月に2冊のマタニティ雑誌を購入して、いろいろ知識は持っていたつもりでした。
でも、帝王切開の知識は一つも持っていなかったんです。
「おなかを切って産む」ということ以外は。

産後しばらく経ってから、自身の帝王切開の体験談を、ホームページ「くもといっしょに」に掲載したところ、たくさんの同じ体験をした方たちから、「私もそうだった!」「わかります!」という共感のメールが寄せられ、私も皆さんに話すこと、聞いてもらえることで、当時抱えていたもやもやを少しずつ小さくすることができたんです。

帝王切開は出産でもあり、手術です。
「生まれて初めての手術が帝王切開でした」というママも多いですね。
当然、何が起きるか想像もつかない中で、わが子の命と自分の命を守り、上のお子さんがいらっしゃったら、その子や家族を置いて逝ってしまうかもしれない恐怖とも戦わなくてはいけません。

そして無事に新しい家族と出会えると、次に待っているのは術後の痛みです。
おなかの表面だけでなく、子宮も切っていますから、子宮収縮の痛みと言ったら(汗)
それと同時に育児も始まります。
術後2日目くらいから、おなかを押さえ、点滴の棒や手すりに頼りながらトイレに行ったり、新生児室に行ったり。
文字通り必死です。

「思っていたように赤ちゃんのお世話をしてあげられなかった」
「沐浴も辛かったし、入院中は泣いてばかりいました。」
お産の振り返りの会を開催すると、「お母さんになったのにできなかった」そんな声がたくさん聞こえてきます。

あなたのそばに、寄り添ってくれる人はいましたか?
「大丈夫だよ」と手を握ってくれる人はいましたか?
「今、これが辛いです」と言える人はいましたか?

お母さんになったから、なんでもできると思ったら大間違い。
親子の出会いは「はじめまして」から。
初めての抱っこ、初めての授乳、初めてのお風呂、初めてのおむつ替え、初めての夜泣き、初めての反抗期・・
何人育てても、その子の「それ」は初めてなんです。

だからね、1人で挑むのもいいけれど、ちょっとSOSを出したらラクになります。
「助けて、今しんどいです」って声をあげたら、あなたの周りには手を握ってくれる人が絶対にいます。
1人めの人が違っていても諦めないで。
絶対にいるから!
そうしてSOSを出せるようになって心に余裕ができると、今までSOSを出せていなかった自分に気がつきます。
がんばってきた自分にマイナス点を出していたら、花マルをあげることができるようにもなる。
そうしたら、それをまた次のママに循環させていきましょう。
今度は、あなたが誰かのSOSに気づいてあげる番です。

「これから」はまだまだ続きます。
どうぞ「これから」に続く「今」を大切に未来人を育てていきましょう。
それと一緒に、自分のおなかの傷や心の傷も大切にね。

筆者プロフィール

細田恭子

細田 恭子

帝王切開カウンセラー
ウェブマガジンまんなかタイムス運営委員 
さいママ 理事

親子も家族も期間限定。大切に味わい尽くしましょう。

https://www.withkumo.org/