「Motherhood~母であること~を喜ぶ、楽しむ、愛しむ」#4 親としての感情と私の気持ち

SanaHashimoto Article

子どもは、お母さんが完璧であるよりも、ほどほどである方が自立して育つことを知っていますか?ママが、私は完璧ではないけども私なりに一生懸命やっている、自分の子育てにある程度満足していること、そういう姿で日々子どもと向き合っていることこそが自己肯定感のある子どもを育てることにつながります。この連載では、日々小さなことで思い悩み、わが子にとって最善のことをしなくてはと思いながら、なんとかその日その日を生き延びているママたちに、肩の力をぬいてもいいことを考えるきっかけとなることを願っています。ママがママとして元気でハッピーであることが子どもの幸せの土台になります。“子ども時代”という言葉があるようには“お母さん時代”という言葉はあまりきかないけども、女性の人生の中でお母さんとして生きる時間は一部です。子にとっては四六時中母であるわけですが、私たちは母であり、妻であり、女性であり、娘であり…等々。その時間をどう生きるかはその人次第であり、筆者である私はサイコロジストとして、一人の母親そして女性として、すべてのママたちがその時間を幸せなものと感じてほしいと願いこの連載を僭越ながら届けたいと思っています。

#4 親としての感情と私の気持ち
子育てって疲れますよね。どうしてこんなにも疲れるものか。体力的にももちろんですが、やはり気持ちの上での疲れもまた大きいように思います。子どもの一挙手一投足に一喜一憂する、まるで感情のジェットコースターにエンドレスで乗っているような日々ではないでしょうか。うちの2歳児は今まさにイヤイヤ期というやつで、ある時はにらみ合っていたかと思うと次の瞬間ケロッとして“ママ大好き”なんて言われてしまうとさっきまでの緊張感や、困り感、子どもの憤怒によって誘発されたこちらの憤りなどは一体どうしたらよいものやら、糸が切れたように体中から力が抜けてしまいますね。と思ったらまた爆発の繰り返し…。そういう時の私たち自身の気持ちに今回は着目したいと思います。

しつもん.子育てしながら子どものどういうことにイライラしますか?最近あった出来事はどんなことがありますか?(紙やスマホのメモに書き出してみてください)

さて、書き出してみてどうでしょう?こんなことでイライラする自分はどうなのかと思ってしまったりしていませんか?イライラしてもいいんです。むしろ、イライラの程度は人にもよりますが、子どもと向き合っているからこそ、子どもと近くにいるからこそイライラするのだと思います。問題はそのイライラに対処できなくなり行動に出してしまう時です。イライラして怒鳴ってしまう、無視してしまう、ついいじわるをしてしまう。そういう行動は問題で、そういうことがある場合は改めなくてはなりません。しかしイライラすること、イライラする自分が悪いのではありません。よく保育園や幼稚園で手が出てしまう子が問題になることがありますが、多くの場合は言語能力が追い付かず、言いたいことがうまく言えずに手が出てしまうということがあります。この場合もやはり手が出てしまうことばかりに着目して乱暴な子、怒りっぽい子と見がちですが、その元にある思いを受け止めてあげることで解消することがよくあります。多くのママたちはそのように対応されているのではないでしょうか。

書き出してみた出来事についてもう一つしつもんです。なぜママ(パパ)はその出来事にイライラしたのでしょうか?イライラの奥にある気持ちはなんでしょうか?例えば、イヤイヤ期のわが娘ですが、口を開けば一言目に「いやっ!」と言う、もうしばらくこの調子のためいくらか想定はされるものの「いやっ!」と言われるとついイラッとしてしまいます。もう結構な期間続いているのでそろそろ終わるかもしれない、そろそろ一言目にうん!と言ってくれるのではないかという期待が裏切られることのがっかりが私のイラッの奥にあることに気づきます。「もういい加減疲れたからイヤイヤ期よ終わってくれ」というもう疲れた、辛いというのは私の気持ちです。それを受け止めてみると、今度はこんなにもイヤイヤ期を続けるわが子に対して、なんて主張の強い逞しい子かという気持ちが出てきます。将来が楽しみだわという期待感とやや誇らしい気持ちも出てきます。そう思うと自分もこのイヤイヤに向き合ってみようという気持ちになります。子どもから学び、子どもに対してこういう気持ちになれるのは親の特権ではないかと思います。こういう親としての特権、喜びがあるからこそ、“私”が疲弊しても辛くてもやっていけるのだと思います。一つの子どもの出来事に対して、私自身の想いや気持ちと、親としての子への感情の両方があることがわかります。そしてそれは時には分けることが難しかったり、イライラで止めてしまうと十分に感じられないことがあります。なので、やはり意識してほしいのは、イライラする“私”を責めるのではなく、大事にすることです。そしてイヤイヤするわが子に対して、“私”は何を感じるのか、そして“親として”は何を思うのか、わかるまでじっくり向き合ってほしいです。イライラの元にある “私”の気持ちを受け止め、対処が必要な時には対処をして、親としての感情に出会えることは、子どもにとっても“私”にとってもとても幸せなことですね。親であるお母さんやお父さんが自分の気持ちに耳を傾けながらも親として向き合ってくれる存在であることは子どもにとってもとてもうれしく、勇気づけられることではないでしょうか。そしてそういう親御さんの姿と関わりを通してわが子もまた自分の気持ちとの付き合い方を身に着けていくことができます。

しつもん.先のイライラした出来事に子を愛する親としてはどんな気持ちが湧きますか?

追記:しつもんに答えてみたところでの感想などぜひおよせください。また相談コーナーも設けてみたいと思います。連載のテーマに沿った形で連載の中でとりあげていきたいと思いますのでその点ご理解いただきお寄せください。

筆者プロフィール

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橋本 麻耶

サイコセラピスト、臨床心理士
PAS心理教育研究所非常勤セラピスト
某市 子ども発達相談巡回コンサルテーション講師

母は完璧でなくてもいい、ありのままの自分らしい母になろう。
 
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