「ちゃんとしなきゃ!は誰のため?」

はじめさんMeet&Talk5

 先日、キッザニア東京の創業や玩具メーカーで企画開発などに携わったことのある清水先生のお話を聞く機会がありました。コロナという未曾有の緊急事態に世の中が変わり2年半経ちましたが、ここまで来るに至り小さな子どもを抱えている親御さんは多方面に気を配り、非日常の日々を過ごしてきたことと思います。我が家も人ごみを避けたり、緊急事態宣言中は子どもが大好きな公園にも行く事を控えたり、一番頭を悩ませたことは「子どもとの遊び方」でした。

 育ちざかりの子どもたち、外でたくさん刺激を受けて遊ばせたいけれど幼稚園も休園で中々外に出られない。しかし、かといって毎日室内も親も正直しんどいし体の健康面も気になる…。とにかく、室内でも体や手先を動かしたり頭を使う遊び、何がいいのかな?と振り返ると毎日色々試行錯誤して遊びを考えていたなと感じます。

 清水先生のお話を聞いて、私の子どもとの遊び方にはどこか親目線の「しっかりしなくちゃ!ちゃんとしなきゃいけない!」という先入観があったのだと気づきました。そもそも子どもたちが喜ぶ遊びって「ちゃんとしなくちゃいけない遊び」という概念はないんですよね。子ども自身がワクワクしたりドキドキするものには自然と集中力が湧いて楽しく遊べるもの。私たち親も子どもの時に楽しかった遊び、好きな遊びを思い返すと決してちゃんとしていた遊びではないことがわかります。えっ?そんな事が?と思うような事や、何をやっているの?と疑問に感じるところに子どもの世界観がぎゅっと詰まっていて楽しそうにしている姿が見られます。 
 
 私はこれは「離乳食」などの子どもたちの食事にも重なるなと思いました。つい母親になると「ご飯をしっかりと作らなくちゃ・食べさせなくちゃ」という概念にとらわれがちですが、そもそも子どもたちには「ママの作るご飯=ちゃんとしたご飯」とう定義はなく、時間をかけたり手間をかけて作ったものよりもパパッと適当に作ったものの方が喜んで食べてくれたりするものです。もちろん栄養面については気を配ることも大切だと思いますがインスタ映えのするようなご飯を用意する必要もありません。私は食事で大事なことは「食卓を囲む環境」だと思っています。よく子どもたちの食事のお悩みに「食べてくれない=ママの料理が下手」だと相談される方がいますが、私はまずは食べてくれない理由としてどんな環境で食べているのか周りの状況を確認し、それから食事についてお話しています。食べてくれない理由はお母さんがしっかりと作れない訳ではなく、食べない理由があります。食材そのものの味が苦手だったりテレビや気になるおもちゃの音で食事に集中できない・機嫌が悪いだけなど、その時々で理由も様々です。

 そして不思議なことに、この「ちゃんとしなくちゃいけない」という壁を親でわる私たちが気にしなくなると、遊びも食事もフワッと心が軽くなり子育てがより一層楽しくなります。 今日から「○○しなくちゃいけない」という言葉とはお別れをして、今しかない子どもたちとの時間を存分に楽しみ、親子でもっと笑顔が増えたら良いなと思います。

筆者プロフィール

はじめ りさ

一般社団法人 離乳食インストラクター認定講師
母子栄養協会 幼児食アドバイザー
母子栄養協会 妊産婦食アドバイザー

妊娠期のママから産後まで、『食』を通しての身体づくりについて、また離乳食や幼児食からのお口の機能・噛む力と身体の発達・姿勢についてなど、食の土台作りをサポートします。

https://www.Instagram.com/hugbaby0312/