「Motherhood~母であること~を喜ぶ、楽しむ、愛しむ」 #6 働く母と子育て母

SanaHashimoto Article

 子どもは、お母さんが完璧であるよりも、ほどほどである方が自立して育つことを知っていますか?ママが、私は完璧ではないけども私なりに一生懸命やっている、自分の子育てにある程度満足していること、そういう姿で日々子どもと向き合っていることこそが自己肯定感のある子どもを育てることにつながります。この連載では、日々小さなことで思い悩み、わが子にとって最善のことをしなくてはと思いながら、なんとかその日その日を生き延びているママたちに、肩の力をぬいてもいいことを考えるきっかけとなることを願っています。ママがママとして元気でハッピーであることが子どもの幸せの土台になります。“子ども時代”という言葉があるようには“お母さん時代”という言葉はあまりきかないけども、女性の人生の中でお母さんとして生きる時間は一部です。子にとっては四六時中母であるわけですが、私たちは母であり、妻であり、女性であり、娘であり…等々。その時間をどう生きるかはその人次第であり、筆者である私はサイコロジストとして、一人の母親そして女性として、すべてのママたちがその時間を幸せなものと感じてほしいと願いこの連載を僭越ながら届けたいと思っています。

#6 働く母と子育て母
 働く母と子育て母は対立するものかのように話題になることが多いですが、果たしてそうなのかと常々考えています。働く母とはなんでしょう?外で働いてお給料を稼ぐ人?家で家事をする母は働く母ではないのか?また子育て母というのは子育てのみをする母なのか?実際そんな人っているのでしょうか?今回のお話の中では、外でも家仕事でも仕事をしている間の母を働く母、子どもと物理的にともに過ごしている母を子育て母ということとします。というところでしつもんです。是非手を止めて、紙に、メモに書き出してみてくださいね。

 しつもん.全体を10として、今のあなたの働く母と子育て母の割合は、何対何でしょうか?(もちろんその二つだけでなくほかの側面もあると思いますが、今回は極端にこの2つでいきましょう。)
 しつもん2.あなたはそれでどの程度満足していますか?理想の割合は、どのようなものでしょうか?

 書き出してみてどうでしょう?どんなことが見えてきますか?ここで問うているのは母である自分のあり方への自覚と希望かと思います。働く母なのか子育て母なのかという対立などはほとんど無意味なことで、大事なのはどれだけ自分がありたい母親であるか、そしてそれによって子どもがどんな風に育ってきているかをいつも振り返り、その結果も含めてどれだけ満足できるかということではないでしょうか。私は、子どもが起きている間にも子どもに背中を向けてあるいは子どもを見ながら家事をします。それは子どもが0歳の時からです。子どもに生活とはどういうことなのかをみせることも大事だと思ってのことで、少し待たされてぐずることがあってもいいと思っています。うちの子はそういう中で、常に相手をしなくても一人で遊ぶ力を身に着けていると思っています。一方で人と遊ぶみたいなことは少し弱いかなと思いつつそれは幼稚園や兄弟と培っていくことができればと見守っています。一方で、子どもが起きている間は家事をせず、寝かしてから次の日の食事の準備をし、洗濯をする人がいることも知っています。日中は子どもの生活リズムにあわせ、子どもとしっかり遊んでいる姿には立派だなと感心することもあります。そして私ももっと子どもと遊んだほうがいいのかなという思いも出てきつつ、それは私のスタイルでも理想でもないように思うというところに至ります。

 新生児を抱えるお母さんは、睡眠も、食事をする時間も自分のタイミングではなく赤ちゃんのタイミングで、自分のリズムなどはなく体調も精神も乱れやすいですよね。でもそれでも大丈夫なのは母体であり母は強しと言われる所以だと思います。そこからだんだんと赤ちゃんは自分で移動し、食事をとることができるようになってくると、お母さんの生活も変わってきます。そういう中で、どの程度働く母であるのか子育て母であるのかということはお母さん自身が選択していくことができるのです。そして選択することが重要だと思います。もちろん、働きたいと思ってもすぐに仕事が見つからなかったり、まだ働きたくなくても復帰を家族や職場から迫られるということはあるとは思いますし、逆に働く必要性がなかったり、家にいることを求められることもあるでしょう。そういう時に選択肢がないと人は思いがちですが、それは選択肢がないのは新生児に対する母親だけでそれ以外のことは必ず選択肢、選択権はあるはずです。

 家にいても家事に没頭して子どもに構えない人もいれば、忙しく仕事をしていても帰ってきてから子どもとの時間を豊かに過ごす人もいます。少しでも質のよいものを食べさせたいために、働く時間を増やすお母さんもいれば、多少できあいのものでも調理時間を省いて一緒に食べる時間を重視するお母さんもいます。この世の中にはいろんな価値観があって何がよいか悪いかとは一概に言えないと思います。大事なのは子どものことも念頭に置いて仕事や家事を含めた生活を設計し、それに子どもがどういう影響を受けて、それがあなたの思うような結果となっているのかを見届けることと思います。うまくいっていなければ、間違ったと思ったならば変えればいいのです。自分のあり方をどんな時も自分で選択していれば、修正はとても簡単なことです。お母さんにもお母さんとしての人生があって、それはお母さんが選択して進めていっていいのです。そういうお母さんの生き方を見せることこそが、子どもに自分の人生を生きるということを教える一番の教科書になると思いませんか?お母さんは働く自分と子どもとの時間を過ごす自分と両方大事にしていいのです。

追記:しつもんに答えてみたところでの感想などぜひおよせください。また相談コーナーも設けてみたいと思います。連載のテーマに沿った形で連載の中でとりあげていきたいと思いますのでその点ご理解いただきお寄せください。

筆者プロフィール

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橋本 麻耶

サイコセラピスト、臨床心理士
PAS心理教育研究所非常勤セラピスト
某市 子ども発達相談巡回コンサルテーション講師

母は完璧でなくてもいい、ありのままの自分らしい母になろう。
 
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