「わたしと帝王切開 ~聞いていい 伝えていい~」

細田さんMeetTalk

たとえば保育園や幼稚園を選ぶとき
たとえば“この人と未来を一緒に歩もう”と決めるとき
あなたは何をしますか?

そこで子どもに何を楽しんでほしいのか
この人とどんな未来を築きたいのか
考え、伝えます。「私はこうしたいです」

さて、出産はどうでしょう。
自分の体に起きることで
自分の未来に関わることで
子どもに語り継いでいくこと。

きっとたくさんの夢や希望を持って、その時を迎える準備をされたことと思います。
中には、その途中で想像していなかったことが起きたり、悲しいお別れがあった方もいらっしゃるでしょう。

私は2度流産をしています。
最初の流産は、自分の気持ちを何も伝えられないまま、医師の言う通り搔爬手術を受けました。
母親なのに守ってあげられなかった・・という罪悪感をずっと持っていました。
2度目の妊娠初期に「今回も心拍が‥」と告げられた時、「何か私にできることはありませんか」と尋ねました。
すると「入院しますか?」という医師の言葉。
すぐにお願いして、入院しました。

でも、流産しました。
入院しても、お空に還ることを決断した子を引き留めるのは無理でした。
医師もわかっていたことでしょう。
ただ、「こうしたい」を伝えられた私の心は、前回とはちょっと違っていました。
もちろん悲しみは一緒ですが、少しだけ納得することができていました。

自分の体のことや、心の揺れは自分にしかわからないものです。
帝王切開出産でも、「本当はこうしたかった」を我慢した方がたくさんいらっしゃいます。

ほんとうは
大切な命と出会う瞬間にこれがしたい
ほんとうは
今、涙が止まらないからそばにいてほしい
ほんとうは
あなたに助けてほしい
ほんとうは
もういやだ!

あなたの「こうしたい」は何でしたか?
その希望はあなたのものだから、伝えていいんです。
「これはできませんか?」
あなたが主役の出産だから、聞いていいんです。

もし次の出産があるなら、伝えていいことを忘れないでください。
次の子育てステージに移った方は、そこでも聞いていいこと、伝えていいことを忘れないでください。

大切なのは、誰に、どう伝えるか。
大切に受け取ってくれる人じゃなきゃ、その希望はすり抜けていくだけ。
命の危険を顧みない希望は、あなたと家族が傷つくだけ。

そしてね、
自分の気持ちを伝えることは、まず身近な人から練習です。
「聞く」とか「伝える」って、案外難しいからね。

筆者プロフィール

細田恭子

細田 恭子

帝王切開カウンセラー
ウェブマガジンまんなかタイムス運営委員 
さいママ 理事

親子も家族も期間限定。大切に味わい尽くしましょう。

https://www.withkumo.org/